乗っていた車が事故って、ケガをした。

上唇が切り裂かれ、傷口から歯茎が見えるという重傷である。

------------------------手術室に通じる廊下-----------------------

私を運ぶワゴンの両脇には、友人達が心配そうに見守っている。

ドラマの手術シーンそのものだ。

こんなカッコいいシリアスは生まれて初めてである。

（音が欲しいな。音が。）

手術台に乗せられた。

傷口の包帯が外され、痛々しく裂かれた傷口が露わになった。緊張が走る。

それを見た手刀医も、頬が震えて緊張の面持ちだ。

手術室のドアは閉められ、手術中のランプが付いた。

こんな緊迫したシリアスは生まれて初めてである。

（ ケガをした甲斐があったよ。ホント。）

その時だ。

「ムフッ…クックックッ…」

…ん？

「口が二つ出来たみたいだねぇ〜！」

……え？

「これは、これで便利だねぇ…はっはっは〜！」

…………。



























…オイ…

さっきの頬の震えは、もしや…





























笑うのガマンしてたんかい！


























手術台の上でも笑われてしまった































そんな事より

























オレのシリアス。。。返してくれぇぃ

ドラマなど所詮、空想の産物である。

それにしても、

おもひでに、戻るよ♪